2025-05-11 (日曜日)
ヒロハフタリシズカ
縄文の森に行ってみました。
復元竪穴住居の東側の一段下の園路わきにこの草がありました。
● Googleマップ
葉の基部がきれいな丸い形でした。
やや鋭角に近いような葉も見えましたが、どれも鋸歯が細かく並んでいました。
ヒロハフタリシズカだと思います。
博物館口に近い一番下の場所は周囲の草が刈られていて、そばに棒が立っていました。
ここで活動している里山ボランティアの皆さんが配慮されたのかもしれません。
● 先日、少し調べてみました。
ヒロハフタリシズカは、
・YList に載っていません
・国内の一般的な植物図鑑を横断的に検索して閲覧できる図鑑.jpでヒットしません
・Googleの検索結果は、
ぬーむさん(@Celastrus91st)の X(旧ツイッター)へのポストの他には、このブログの記事がヒットする程度でした
・私がヒロハフタリシズカを知るきっかけになったぬーむさんのポストです
https://x.com/Celastrus91st/status/1792098439100281071
矢原徹一博士がコメントされています。
九州オープンユニバーシティで矢原徹一博士を中心に日本の野生植物の分類を再検討するプロジェクトが進められているそうです。
ぬーむさんが上の投稿をされる少し前、九州オープンユニバーシティから『新種候補植物図鑑速報版』が刊行されました。
速報版1のチャラン属のなかで、ヒロハフタリシズカは独立種とみなすべき「改定種」として掲載されています。
フタリシズカとヒロハフタリシズカの違いは、
フタリシズカでは葉縁に粗い鋸歯があり、葉脚が鋭角であるのに対して、ヒロハフタリシズカでは葉緑に細かい鋸歯があり、葉脚が鈍角(90度より大きい)または円形です、と説明されています。
ヒロハフタリシズカの学名は、
Chloranthus japonicus Siebold
と書かれていました。
フタリシズカは、リンネが1818年の「植物体系」に、シーボルトが1846年のミュンヘンアカデミー紀要に記載していることが YList でわかりました。
およそ180年前にシーボルトがどのように書いていたか読めたら楽しいと思いますが、わかりませんでした。
● 追記です.(2025-6-2)
矢原徹一博士が昨日、日本の野生植物総点検プロジェクトについてX(旧ツイッター)とfacebookに投稿されました。

コメント
投稿者 tosijii : 2025年5月19日 20:23
tosijii さん、コメントどうもありがとうございます。
私もその点が一番気になっています。
縄文の森には、対生する葉の一対は葉脚が丸くてもう一対は鋭角のように見えたもの(鈍角と鋭角がセットになっているもの)がかなりありました。鋸歯はどれも細かくて綺麗に並んでいました。
鋭角に近い葉が混じっていても丸い葉があれば鋸歯によってヒロハフタリシズカと判断できるのか、まだわかりません。
ネットでフタリシズカを検索すると葉がかなり丸い画像がたくさんありました。
これは想像ですが、一般的な図鑑にもネットにもヒロハフタリシズカの名前があまり出てこないのは、変種として分類するまでもない地域的な変異の範囲内と見られていたのか、あるいは、丸い葉こそががフタリシズカの形態だと見られていたのかもしれません。
上の『新種候補植物図鑑速報版』の解説では、ヒロハフタリシズカは変異の少ない単系統群で、神奈川県以北に分布していて関東などではフタリシズカと分布が重複しているそうです。
まだ情報が少なくて今後の発表や自然解説員さんの調査を待ちたいと思います。
今は、縄文の森は全部ヒロハフタリシズカと見ています。
投稿者 s.fujino : 2025年5月19日 22:50
tosijii さん、
いま「過去の今日」のページを開いたら、2018年5月20日にフタリシズカの画像を載せていました。
https://www.myrte.jp/archives/2018/05/post-969.html
です。
葉が4枚とも鋭角に見えます。
その日の他の画像をよく調べてみますが、過去も含めると「全部」とは言えませんね。
今度また時間がとれたらもう少し見てまわります。
tosijii さんもよろしくお願いします。
投稿者 s.fujino : 2025年5月20日 01:59
縄文の森のヒロハフタリシズカを確認しました。ありがとうございました。
縄文の森は全部ヒロハフタリシズカということでしょうか。
tosijii